
すんごい熱烈なラブコールがあったので
昔書いた変な小説っぽいものを上げます
あらゆる点で痛すぎてもう読み返せないので誤字脱字、矛盾点とかチェックしてないのですが
若いなぁと流して楽しんでもらえれば幸いです
続きを読むで2年くらい前にタイムスリップ
2006年1月20日投稿
原題「進研ゼミの漫画みたいな終わり方」
ルームシェアしてぇって思うんですね。
それもかわいい女の子と。
全然知り合いじゃなかった異性二人が、反発しながらも惹かれあっていく感じね。
わかる?恋人とかと一緒に住むのだと駄目。却下。おもしろくないし、めんどくさいし、どうせSEXするだけだし。
そういうのじゃなくて、こう青臭い恋がしたいんですよ。
全然知り合いじゃなかった異性二人が、反発しながらも惹かれあっていく感じね。
全然知り合いじゃなかった異性二人が、反発しながらも惹かれあっていく感じね。
はい、合計3回言いました。
とはいえ、異性とルームシェアしたところで、果たして恋愛感情が生まれるかと言わると疑問だし、かわいい子が来る可能性も限りなく低いと思います。
そんなわけですな、いつも通り
「素敵なルームシェアLOVE」を脳内妄想してみようかと。
とりあえず、登場人物の設定を。
大村マサキ(筆者)大学中退、フリーター、夢はあるが踏み出す勇気がなく自宅でエロゲ三昧、対人恐怖症、特に女性が苦手、自分に自信なし、悲観的、無口
岸田アキ(ルームシェアするおにゃのこ)大卒、一流企業勤務、日々がんばってるが失敗ばかり、対人恐怖症、特に男性が苦手、自分に自信なし、悲観的、無口
という感じですね。
おにゃのこは自分の好みで。
男は、自分に限りなく現実に近い感じで登場人物設定したんですけどね。
うん、駄目だ。
どう考えても、アキさんはこの男を好きになってくれませんね。
涙が出そうだ。
というわけで、ちょっと変更。
僕が空を飛べる事にします
空を飛べると言っても、どこぞのZ戦士みたい光の速さで飛べるわけじゃんくてですね。
高度は無限だけど、あくまで人が走るくらいのスピードしか出ないって感じで。
歩くのと一緒で、飛びすぎてると疲れるって設定で。
それ以外は普通の人間。
この設定で。
それでは
「ワンダフルルームシェアラブ in 地球」始まります。
物語の始まりは、ある街の上空。
上には輝く月。
下には輝く夜景。
その間で。
光と光の間のわずかな闇で。
目をつぶって眠るように、浮かぶ少年。
その耳には買ったばかりのMP3プレイヤー。
閉じた目の中には暗闇しかなくて。
耳に響く音だけが彼の世界。
そのままその闇に溶けていく。
そんな少年の名前は「マサキ」
大学中退、フリーター、夢はあるが踏み出す勇気がなく自宅でエロゲ三昧、女性が苦手、自分に自信なし、悲観的。
どうしようもない男。
ただ、彼は魔法を使うことができた。
空を飛ぶ。
ただそれだけ。
目立つ能力のため人前で使えないので役に立ったことはない。
ただこうやって月の出る夜。
人知れず空に浮かぶのが彼の趣味。
この力は、父が死んだ時手に入れた。
幼少の頃少年は父を亡くした。
悲しくてどうしようもなかった少年は一つの決意をする。
いつか聞いた話。
死んだ人は星になると。
だから彼は飛んだ。
父がいなくなったその日。
病院の屋上から。
あの星目がけて。
力いっぱい。
普通なら、そのまま飛ぶ事無く、地面に落ちて死亡。
脳みそは飛び散り、臓器はばら撒かれ、骨はグチャグチャ。
そんな事はわかっていた。
でも彼は飛んだ。
本当に飛んだ。
あの星目がけて。
そして彼は知る。
星になんて行けなくて。
その星には何もないという現実を。
なぜか彼は雲の上から月を見ていた。
そして、以後十数年間。
彼は人と関わる事を極力避け生きる。
そんな彼が一大決心する。
唯一の理解者、母の元を離れ生活する。
死ぬ気で自分を育ててくれた母。
もう母には負担をかけれない。
一人暮らし。
だけどそんな金はない。
だからルームシェア。
不動産屋でいい場所を見つける。
そして引越し当日。
ルームシェアの相手は「五反田紅蔵さん(29)」
名前の通りちょっとパンチの効いた男の人。
べらぼうに怖い。
確実に893。
だけどこれは人に慣れる試練。
初めにに一番キツイ所から行ってしまうと、あとは何来ても大丈夫だろうという彼の考え。
好きな食べ物は最後まで取っておくタイプ。
彼はこれから住まいになるその部屋の前に立つ。
心臓が脈動する。
すでに中で人が殺されていたらどうしよう?
証拠隠滅のために細かくスライスされ、トイレに流されている真っ最中だったら?
「今日は焼肉ですか?」
なんて素敵な返し、自分にできるだろうか?
力強くノックする。
返事は待てない。
思いっきり扉を開ける。
「どうも〜、マサキで〜・・・」
声が止まる。
扉を開けたとき、べらぼうにでかい音がした。
衝撃音。
そしてドアに走る鈍い感触。
誰かがドアにぶつかった。
多分ノックを聞いたからドアを開けようとしてくれたのだろう。
ゆっくりと中に入る。
中には誰かが倒れている。
頭を手で押さえて。
「殺される」
マサキは確信する。
「紅蔵さんに瞼だけ切り取られる!」
彼は部屋から逃げようとした。
そんな彼に声が。
「痛たた・・どうもすいません・・私ドンくさくて・・」
あれ?
紅蔵さんこんなに女っぽい声だっけ?
どうでもいい。
とりあえず謝ろう。
とにかく謝ろう!
額の皮が千切れて、頭蓋が見えるくらい地面に擦りつけよう!!
「紅蔵さん、すいません! 俺調子こいてました! 発売日にNINTENDO64買ったあの日くらい調子こいてました!」
「いえいえ、私もテンション上がってしまって不用意に扉に近づいたからいけなったんです。これからはノックがあったら、とりあえずドアに向かって硬球とかおもっくそ投げます。
それで反応がなかったら開けるようにします。だから表を上げて、姫子さん」
「いやいや、俺が調子こいてたんです。ノックした後、扉の前で今みたいに土下座してればよかった。あなたが扉を開くまで、今みたいに紅蔵さんに絶対服従を誓うような形に持っていくだけのアドリブが俺にできればよかった。でもできなかった。だから俺今してる。すごくこわい。
だから殺さないで。尿道に細長いビーカー突き刺すとかそういう類の拷問はよして!」
「いえいえ、そんなマニアックな拷問なんかしませんよ。ねっ、姫子さん。これから一緒に住む仲なんですから。これくらいのハプニングたいした事ないですよ。色んな事乗り越えていきましょう!
一緒に住む相手が誤って男性だったなんてハプニングだったら、私許しませんけど、姫子さんは女性じゃないですか。仲良くしましょう」
「紅蔵さん、本当にすいませんでした。俺あなたみたいな漢と一緒に住めて光栄です。
ほんと一緒に住む相手が女だったらどうしようかと思ってました。
紅蔵さん、これからもよろしくお願いします」
お互い土下座する形になっていた二人は、そっと顔を上げた。
そしてお互いを見た。
「・・・五反田紅蔵さん・・ですよね?」
「・・・金剛院姫子さん・・ですよね?」
止まる世界。
「・・・せ・・性転換・・されたんですか?」
二人の声は重なった。
アパートの管理人室に響く声。
「管理人さん、一体どういう事なんですか!! 私の同居人は姫子さん(紅蔵さん)だって言ってじゃないですか!」
重なる二人の叫び声。
それを少しも慌てる事無く笑って見ている初老の管理人。
「まぁまぁ落ち着きなさい」
「落ち着けるかあぁぁぁぁぁ、この初老がぁぁぁぁっっ!!!」
「あなた、目上の人になんて口の聞き方してるの。謝りなさい!」
「何言ってんだ、この人がなんかしたからこういう状況になってんだろうがぁぁぁぁぁ!!」
「そうよ、ちょっとぉぉぉお、この初老ぉぉぉぉ!! 一体どういうつもりですかぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「いやぁ、君らの本来の同居人ね、紅蔵くんと姫子さん。突然契約を解除しきてね。
姫子さんはたしか、ご両親にね、今回のルームシェアの件隠してたらしいんだよ。それがバレちゃったらしくてね。いやぁ、うまく騙された。あと紅蔵くんは捕まったらしいよ」
「・・・姫子さん・・・・・」
「それで・・どうして俺らが一緒に住む事に・・?」
「君たちルームシェアしたかったんだろ? だったらいいじゃないか。パートナーが少し変わっただけだよ」
「ちょっとじゃねぇぇっぇぇだろがぁぁぁぁぁぁ、EDィィィィィ!!
男性器なくなるほどの大変貌遂げてるじゃねぇかぁぁぁ!!
女と暮らすなんてごめんだぁぁぁぁぁぁ!!!」
「私もごめんですよ、男と一緒に住むなんてぇぇっぇ!! すぐ変えてくださいぃぃぃ!!」
「ちょっと我慢してくれんかね? 次の希望者が来るまで」
「無理じゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「無理に決まってるでしょうがぁぁぁぁぁ!!」
「家賃まけるから」
「どれくらいですか?」
「そういう事なら私達も鬼ではないので、折れますよ」
「これくらいでどう?」
「そこの女子、これからよろしく」
「そこの男子、末永くよろしくね」
こうして二人のルームシェアが始まった。
酷く不器用な二人の生活。
男の名は、マサキ。
女の名は、アキ。
異性を苦手とする二人が決めた事はまず、お互いの境界線。
アキは自分の選んだ部屋の前に、たくさんの鳴子を張り巡らせた。
マサキは自分の選んだ部屋の扉に、アキが苦手だというホラー映画のポスターを貼った。
家事全般は完全に別々。
家庭内別居である。
そうして日々が始まった。
お互いに会話はほとんどなし。
生活サイクルが違う二人はほとんど関わる事がなかった。
出会いがあんな風だったからか、お互いに歩み寄ろうとする事はなかった。
本当はそうしたかったけど。
ある日、リビングのソファでうっかり眠ってしまったマサキ。
アキは眠るマサキにそっと近づいて毛布をかけた。
異性が苦手なアキにとっては大冒険だった。
毛布をかけると同時にクラウチングスタートで部屋にダッシュで戻り、ベリーロールでベッドにダイブ。
そして勢い余って壁に頭から激突。
薄れゆく意識の中、これが仲良くなるきっかけになればと、彼女は思った。
しかし翌日その思いは裏切られる。
不器用な二人は心とは裏腹に感情のぶつけ合いしかできない。
「勝手に毛布かけてんじゃねぇぇぇっぇよ!!」
「何よ、目の前に汚い野菜があったから、洗ってサランラップしてあげただけじゃない!」
「洗ったの?」
「洗ってないわよ」
「紛らわしい事言うじゃねぇぇぇよぉぉぉ!!」
そして朝の時間は過ぎ
アキは仕事に、マサキは腹いせに彼女を想像してオナニーにふけった。
その日の夜、仕事が終わって帰ってきたアキと、引きこもっていたマサキにはいつも以上に会話がなかった。
どうにかしたいけどできない。
こんなくだらない事で喧嘩したくない。
もっと話してみたい。
そんな事を思いながらシャワーを浴びるアキ。
その音を聞いてオナニーをするマサキ。
二人の距離は縮まらなかった。
そして数日後、事件は起こる。
微妙な位置のままの二人。
深夜、アキが眠っている時間、マサキは酒を飲んで帰宅した。
ベランベランに酔っ払ったマサキ。
彼は間違えてアキの部屋を自分の部屋だと勘違いしてしまう。
扉に手をかけようとした、その時、何かに躓く。
鳴子である。
鳴り響く警鐘音。
その音で酔いが覚めたマサキは戦慄する。
アキの部屋の扉が少し開いている。
その隙間から、大好きなバンドの解散ライブで怒りや悲しみ、そんな複雑な感情を抑え切れない熱狂的なファンのような顔をしたアキがいた。
アキは手に持った林檎を投げつけてきた。
実家がりんご農園を営んでおり、先日大量に送られてきたものである。
マサキはその林檎を包丁で真っ二つにする。
実家が刀鍛冶を営んでおり、先日大量に送られてきたものである。
深夜、二人は一心不乱に投げては斬り、投げては斬りを繰返した。
部屋はりんごまみれ。
いつの間にか途中から「どっちの実家が優れているか?」の勝負になり
お互いの実家の素晴らしい所を言い合っていた。
明け方、二人はリビングに倒れていた。
しかし笑顔の二人。
ようやく二人は少しだけ、自分について話し合えたのである。
少しだけ前に進んだ。
家事は分担された。
けど鳴子とポスターは解除されなかった。
アキが作るカレーは辛かった。
マサキが作る卵焼きは甘かった。
夜中にマサキがボウルいっぱいに生クリームを作って舐めていたら、アキが猫みたいに部屋から出てきた。
ちょっと分けてあげるとうれしそうに舐めた。
アキが寝る前にするアロマテラピーの匂いが、マサキの部屋までもれてきて困ったが、いつの間にかその匂いがないと寝れなくなっていた。
ある水曜日、マサキが好きなバンドのライブにアキを連れて行った。
揉みくちゃになって踊った。
その日の夜アキが自分の好きな音楽をリビングで聞かせてくれた。
マサキにはよくわからないものだった。
けど、なんとなく好きになれそうだった。
それから毎週水曜日は、お互いの好きな物を発表する日になった。
バイトをクビになってニート化していたマサキに、ようやく次のバイトが決まった時、アキは自分の事のように喜んでくれた。
帰ってきたマサキの頭に、パイナップルの中身をくり抜いた作った仮面を被せてきた。
「おめでとう、身がちょっと残ってるから被ったまま中から食べてね」
彼女の言いつけ通り中からぬちゃぬちゃ食べるマサキ。
「顔が見えるまで食べれたらマサキの勝ちだよ」
どこの部族の祝い方かわからなかったが、マサキは言うとおりにした。
たれる汁で全身がにちゃにちゃである。
ようやく皮まで食べて視界が開けたとき、彼女は腹がよじれるくらい笑っていたので垂直落下式DDTをブチかました。
休みの日は日用品を二人で買いに行って、帰りに映画を見て二人で泣きながら帰った。
そうして、どうしようもなくぎこちなかった日常は氷が解けるように、人々が昨日起こった凄惨な事件をすぐ忘れるように、少しずつ変わっていった。
夏のある日の夜。
仕事帰りのマサキ。
アパートに戻るとエレベーターが壊れていた。
部屋は5階。
階段で上るには疲れすぎていたので、彼は空を飛んで行く事にした。
忘れているかもしれないが、マサキは空を飛ぶことができるのである。
ベランダから侵入する事にした彼は、誰も見てないのを確認して飛んだ。
ゆるゆる歩くくらいのスピードで。
それでも直線距離なので、階段よりは近い。
ベランダに近づく。
今日は疲れた、酒でも飲むか。
そんな事を考えていると、ベランダに洗濯物を干すアキがいた。
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
「エレベーター・・壊れてたから・・飛んできちゃった・・」
「・・・・・・・」
「・・その・・・」
「・・・・・・・」
「お・・驚いた?」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
「ぎゃやああああああああああああああああああああ!!!!」
「おおおおおおお落ち着けってぇぇぇぇ!!」
「マサキくんがデスったぁぁぁぁぁあぁ!! 幽霊やぁぁぁぁぁ」
「違うって、死んでるように生きてるけど実際には死んでないから!」
「みみみみみみゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「落ち着けって! 俺飛べるんだって! ほら、ねっ。現実を見て!」
「むびゃぁぁぁぁぁあああああぁぁぁぁ!!!!」
「これはヤバイ! 戦後最大級のヤバさだ!」
「ころあぁおあぁおあぁぁぁぁぁ!!!」
とりあえず、マサキは帰りにコンビニで買ってきたティラミスを部屋の中に投げた。
アキは目を輝かせてそのティラミスを追いかけていった。
部屋で落ち着いたアキに事情を説明した。
彼女はなんとなく事実を受け入れたようだった。
ティラミスを食べ終えたアキは、呟いた。
「そっか・・マサキくんは・・自分にしかないもの持ってたんだね」
その日から、アキは少しだけ変わった。
いつも通り、笑う。
でもどこか寂しそうだった。
秋になって、マサキはアキの職場を見学する事にした。
もちろん内緒で。
彼女を見送った後、久しぶりに背広を着た。
そして彼女の勤める会社に行った。
普通に入ったら門前払いを喰らうだろう。
しかし彼は空を飛べる。
人気のない場所で彼は飛んだ。
そのまま屋上へ。
屋上にはオフィスラブを楽しむカップルがいた。
とりあえず延髄に気持ちのいい蹴りをお見舞いして気絶させた。
侵入成功。
アキのいる部署に向かう。
そこには彼女がいた。
苦悶の表情をする彼女が。
空気椅子をしていた。
「あの?彼女何してるんですか?」
「あぁ・・あの子かわいいから、いじわるな先輩にいじめられているのよ」
「それで・・空気椅子?」
「椅子隠されちゃったらしいのよ」
その後もアキは一度も笑う事はなかった。
男と話す時はずっと辛そうに。
仕事中は空気椅子でいい汗をかいていた。
家ではあんなに笑うのに。
いや・・本気で笑ってくれてるのかな・・?
その夜帰ってきたアキは「最近ジムに行って足腰を鍛えている」と笑って話してくれた。
綺麗なヒンズースクワットを見せてくれた。
冬。
あんなに近づいた二人は、未だに止まったままだった。
凍てつく寒さが全てを凍らせるように。
寒い日にこそアイスが食べたくなるように。
二人はそのままだった。
クリスマス。
今年は日曜日がクリスマス。
二人は約束した。
どうせ恋人もいないし、一緒に楽しく過ごすと。
マサキは朝からバイト。
アキは朝からたくさんの料理を作った。
夕方携帯を見ると
「ちょっと遅くなる」
とマサキのメール。
アキは少し呆れて
そして気がついた。
ケーキを作ってない事に。
時間はまだある。
どうせなら都会の方へ出て。
デパートなんかで自分じゃ作れないものすんごいケーキでも買ってこよう。
それを見たら彼はどんな顔するだろう?
甘いものが大好きな彼は、どんだけアグレッシブなリアクションを見せてくれるだろう?
そして彼女は都会の街に行き、女の子と楽しそうに歩くマサキを見た。
夜。
マサキは慌てて帰ってきた。
「ごめん、ちょっと遅くなった」
「誰?」
「えっ? 俺・・マサキだけど」
「今日誰と歩いてたの?」
「へ?」
「今日誰と歩いてたの?」
「あの・・該当者が多すぎてどの事を言ってるのか・・?」
「夕方に・・女の人と」
「・・・見てたの?」
「誰?」
「昔、異性交遊関係にあった女性・・」
「・・今日は一緒に過ごすって約束したよね?」
「・・はい」
「いつもならいいよ。別にマサキくんが誰と居ても。でも今日は一緒にいるって約束したよね?」
「・・・はい」
「死んで」
「はい?」
「自害して」
「それは・・勘弁」
「ほら包丁。あなたのお祖父さんが作った切れ味鋭い包丁よ」
「いや・・ちょっと切腹は今時流行らないと・・」
「首に包丁を突き刺しなさい」
「うわぁ、エキセントリック・・」
「黒髭危機一髪くらい刺しなさい」
「首飛びませんよ。血が大量に出るだけです」
「その、昔、異性交遊関係にあった女性と何してたの?」
「昔、異性交遊関係にあった女性とは街で・・たまたま会って・・」
「昔、異性交遊関係にあった女性とマサキで、私へのプレゼントを選んでいた、とかそういうんじゃないのね?」
「いや・・昔、異性交遊関係にあった女性と・・ただ話してただけ」
その言葉の後、百科事典の角で思いっきり殴られて、マサキは気絶した。
翌日、目を覚ましたマサキはアキが家にいない事に気がついた。
家出とかそういんじゃなくて、ただ仕事に行っただけのようだった。
彼も痛むたんこぶを冷やして、バイトに向かう。
彼女が作ったカレーはやっぱり辛かった。
アキは職場で死人の様な出で立ちだった。
昨日の事があって、もう心は破裂しそうだった。
目に入るものは全員殺してしまいそうな状態。
そんなアキに、いつもいじめをしてくるお局さんが近づいてきた。
右手にコーヒーを持って。
「どうしたの、今日は元気ないじゃない? これでも飲んで元気出しなさい」
お局はコーヒーを差し出す。
アキは感動した。
この人が普段いじわるなのは、私がたるんでいるからなんだ。
こうやって元気がないときは励ましてくれる優しい人だったんだ。
「さ、飲んで」
アキはコーヒーを飲んだ。
そして泥酔した。
コーヒーの中にはスピリタスが混入されていたのである。
酒を飲まないアキはそれに気付かず飲み干した。
そのまま暴れた。
机の上に飛び乗り、向かいの堀江くんのあごをひざで折った。
佐藤さんの足の指を回し蹴りでへし折った。
森くんの肩をはずした。
そして部長に向かってデスクワークと称し、机を振り回した。
部長は窓を突き破り、叩き落ちていった。
彼女は仕事をクビになった。
夜。
マサキが家に帰ると真っ暗だった。
電気をつける。
アキの名前を呼ぶが返事がない。
日付はもう変わろうとしていた。
アキは今までどんなに遅かろうと、日付が変わる前には帰ってきていた。
今までこんな事はなかった。
リビングは昨日まま。
そう、昨日あんな事があったのだ。
彼女に何かあったのかもしれない。
マサキはアキの部屋の前に立った。
そして鳴子を引きちぎって。
中に入る。
初めて見る彼女の部屋。
彼は目的を忘れて酷く興奮した。
とりあえず、彼女の部屋のいたるところに「大人のおもちゃ」を隠すことにした。
「あらっ? あたしったら、いつのまにこんなもの買ったのかしら?
まさか無意識下で深層心理に潜むわたしの淫靡な部分が出たの?」
そんな事になればいいなぁ。
マサキはローションを水と絡めて練りながらそんな事を考えていた。
ドアノブやリモコン、そして下着にローションを塗りたくっていく。
アキはビックリするかなぁ。
一通り仕事を終えた彼は、机の上であるものを発見した。
遺書である。
正確に言うと遺書の下書きである。
そして「絶対安心ここならGO TO HEAVEN」と言う本。
そこのある場所にふせんが貼ってあった。
ふせんには「ここで死ぬ☆」とかわいらしい文字で書いてあった。
アキは死ぬ気なんだ。
なんで俺はこんな変態行為に勤しんでいたんだ。
こんな事してる場合じゃない。
でも・・死にたいと思っている人を止める必要あるのかな?
死にたいなら・・死なせてあげるのが・・一番じゃ・・。
そして彼はもう一つ見つけた。
それは写真の束。
マサキとアキがりんごまみれで笑っている写真。
全部同じ写真だった。
100枚くらいありそうだ。
意味がわからん。
なんで100枚も。
多分注文する時に数書き間違えたんだろなぁ。
その写真の中の二人は幸せそうだった。
楽しかった日々。
彼女がいなけりゃ駄目だ。
俺には彼女がいなけりゃ!
死なせたくない。
もう大切な人は失いたくない。
彼は「絶対安心ここならGO TO HEAVEN」を取って、外に飛び出た。
そして飛んだ。
人が見てようと関係ない。
この力は彼女を救うために手に入れたんだ。
きっとそうだ。
彼は飛んだ。
全速力で。
そして400メートル後、息が切れたので無事着陸。
タクシーを拾って、現場に向かった。
ある山にある崖の手前。
アキは車に乗っていた。
車内にはすでに火がくべられた練炭がたくさん置かれていた。
練炭と崖にダイブの2段構えで自殺。
いつもどこかでミスしてしまうアキは、最善の策を選んだ。
遺書は近くの岩陰に置いた。
後は・・アクセルを踏み込むだけ。
苦しい。
もう生きるのは苦しい。
だからもう・・。
時計を見た。
大好きだったドラマの最終回の時間。
あの主人公は幸せになれるのかな?
私は全然だよ。
少しアクセルを踏み込む。
車が少し進んで、体がどうしようもなく震えた。
怖い。
死ぬのは怖い。
けど、もう死ぬしかない。
会社をクビになった。
両親に合わせる顔がない。
私が死んだら何人悲しむだろう?
お父さんとお母さんは泣くよね。
おじいちゃんとおばあちゃんも。
お兄ちゃんと妹も泣いてくれかな?
友達のなほちゃんと、あやちゃんも泣いてくれるかな?
死んだ私を見て、みんな花をそっと置いて泣いてくれるかな?
あの人は泣いてくれるだろうか?
そんな事を考えていたら涙が止まらなかった。
生きたいよ。
でも、この世界の誰もきっと私を必要としていない。
誰も私がいなくても困らない。
世界はそのまま何事もなく動く。
じ ゃ あ 死 ぬ し か な い じ ゃ な い
アキはそっとブレーキを離した。
クリープ現象でゆっくりゆっくり車は動く。
少しずつその時は近づく。
少しずつ。
そして、彼は現れた。
「はぁぁぁぁい!! こんばんわぁぁぁ!!」
「・・・マサキ・・・くん」
「はいブレーキ踏んでエンジン止めようね、車動かないように押さえとくから」
「なんでこんな遠いとこまで来るの? タクシー代高いって!!」
「・・・・・」
「ほら・・・こんな有名自殺スポットで騒いじゃったから、霊的なものがざわついてるじゃん!!」
「・・・・・」
「ものっそい怖いから・・帰ろう・・」
「・・・・・」
「死んでどうするの?」
「・・・・・」
「死んだら終わりだよ」
「・・・何もないから、生きてても」
「あるよ。楽しい事たくさんある」
「ないよ」
「俺も生まれてきたくなんかなかった。でもさ、産まれちゃったんだよ。父さんと母さんがSEXして。
生きてても辛い事ばっかだよ。自分に自信なんて持てないし。
でもさ、たまに楽しくて仕方ない事がある。それでいいじゃん」
「よくないよ」
「ちょっとぉぉぉぉぉ、アクセル踏み込むなってぇぇぇ!!」
「・・・・」
「おおおおおおおい、前輪崖から落ちかけてるぞぉぉぉぉ」
「今から死ぬんだから」
「こんなバカな大人が作り出した世界で悲観する必要なんてない。
変えていきゃいいんだよ、俺達が!」
「・・・・」
「いいか。人はいつか死ぬ。物だっていつかは朽ち果てる。だから美しいんじゃないか。
絶対に壊れないもの、なくならないもの、完璧なものなんてすぐ飽きちゃんだよ。
ありがたみが無くなる。
どうしようもないものだから、何より大切で絶対守ろうと思うんだぞぉぉぉ!!」
「・・・・」
「ほら、石油とかそうだろ?」
「石油かよ」
「おおおおおおおぉぉ、アクセルはやめてぇぇっぇ!!落ちるってマジで!!
お前、俺が空飛んで支えてなかったらすでに落ちてるよ」
「・・・・」
「・・マサキくんにはあるじゃない。自分しかないもの」
「ないよ!!」
「今飛んでるじゃない!!」
「こんなの何の意味もない」
「嘘」
「空飛べるだけで、他は並以下だぞ!!」
「空飛べるだけで充分じゃない!!」
「こんなのなんでもない、ちょっと早く走れるとかそういうのと同じだ」
「贅沢だよ」
「アクセルはやめてぇぇぇぇぇ!!!!! もう車半分落ちてるよ!!
ほら、俺完全に轢かれてる状態。人身事故」
「・・・・・・」
「痛あぁぁぁぁぁぁぁいってばぁぁぁ!!」
「私は全てを望んでるわけじゃない。神様になりたいわけじゃない」
「アキ・・」
「本当に些細な事しか願ってないよ。でも何もうまくいかない!」
「・・・・」
「何もしてないわけじゃないよ。でも何もうまくいかないのぉぉぉぉ!!」
「あぁあぁぁぁぁ、変わればいいだろうがぁぁぁぁぁ」
「えっ?」
「うまく行かないんなら、うまくいくように変わろうとすればいいだろうが!」
「できないよ。そんなのできない。三つ子の魂百まで」
「辛いなら。それが辛くて笑えないのなら、俺が傍にいる。笑わしてやる。
お腹が空いたらご飯作ってやる。血が見たいならリストカットしてやる」
「ちゃんと言ってよ」
「は?」
「私は・・好きな人に好きって言って欲しいの」
「は?」
「言ってよぉぉぉぉぉ!!」
「いやいや、好きとかそんなんちゃいますし・・」
「嘘付けぇぇぇぇ、顔に書いてるわぁぁぁ!!」
「いやいや・・」
「・・・・・・」
「アアアアアアアアクセルはぁぁぁぁぁぁぁやめてぇぇぇぇぇぇ」
「もう死ぬ」
「あああああああああああぎゃああぁぁぁぁぁぁっぁ巻き込まれてるぅぅう。
人体の一部が車の部位に巻き込まれて裂傷してるぅぅぅぅ」
「死ぬ」
「俺が好きって言えば満足か!?」
「言ってよ」
「いや、そんな軽んじて言うことじゃないじゃん」
「この極限であなたはまだそんな事をぉぉぉぉぉぉ!!」
「ああああああああああああああああああああ」
「言えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
「らあぁぁぁっぁだっぁぁぁぁぁぁぁ」
「言葉に出さないと伝わらない事がある」
「うううううううああああああああああ」
「言わなくても伝わるなんて無理だよ!」
「ああああああああぃぃぃっぃいい」
「私達は所詮他人なんだから」
「くああああいあいいあいあいあいあ」
「わかりあう事なんてできないんだから!」
「言うぅぅぅぅからぁぁぁぁぁぁ」
「ほんと?」
「・・・・」
「・・・・」
「・・・・」
「・・・・」
「・・アキ」
「・・んっ?」
「あの・・・」
「うん・・・」
「え〜と・・」
「・・・・・」
「す・・・・」
「す?」
「す・・・・」
「・・・・・」
「・・・好・・き・・・だ」
「・・はっきり」
「言ったじゃんか」
「もっとはっきり」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「好きだっつてんだろがぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁ!!!!!」
「・・・・うん」
「もう・・死なない?」
「うん」
「じゃあ・・・車から降りようね」
「うん」
「・・・・・」
「あっ、駄目」
「何が?」
「練炭で死ねるように、開くとこ全部にガムテープ貼ってたの」
「はがせよ」
「それが・・べらぼうに貼りまくってるの」
「なんでこんな時は用意周到なんだ?」
「あれ? からだ・・・が重い」
「一酸化炭素中毒?」
「・・・マサキ・・・」
「おおおおおおおおおおおおおアクセル踏むなぁぁぁぁぁぁ」
「からだが・・うごかない・・」
「シャレに・・・なってねぇぇぇぇぇっぇぇぇっぇえ」
「マサキ・・・好きだよ」
「ああアアアあああああああああああああああああああああああ」
車はゆっくりと崖から落ちる。
奈落の底へ。
叩き付けれて。
爆発した。
どこかの会社のどこかの部署。
あるOL達が一列に並ばされていた。
「今までありがとうございました」
頭を下げるふりして、一人ひとりに頭突きをブチかましていく。
唇をピンポイントで狙うので、みんな血まみれだった。
「今までありがとうございました」
「ぎゃやあああああぁっぁ」
最後のお局さんにもう一発ブチかまして、彼女はその場を去った。
会社の外に出ると、雪が降っていた。
ちょっと行った公園で頭に雪を積もらせて、彼は立っていた。
「お待たせ」
「お前! 血だらけじゃん!」
「私の血じゃないよ」
「いや、どっちかというとそっちの方が嫌」
「私の血ならいいの?」
「いや・・そういうことではなく」
「ねぇ・・」
「マサキ?」
「うん?」
「手繋ごう」
「恥ずかしいからやだ」
アキは少し困ったように笑った。
あの日。
アキが自殺しようとした日。
アキは一酸化炭素中毒になって、アクセルをフルスロットル。
車はマサキごと崖から落ちた。
死ぬと思ったあの時。
なぜか車の扉が開いた。
そんでアキが飛び出た。
彼は体を引きちぎって彼女を捕まえた。
そして、上空で。
彼女を抱きとめ。
燃え盛る車を見ていた。
なんであの時、べらぼうにガムテで閉じられたドアが開いたのか。
それは後にわかった。
「マサキ」
「うん?」
「手、繋ごう」
「断っても・・どうせ」
「うん」
マサキの手は、自分の意思とは裏腹に。
アキの手に繋がれていた。
あの時、アキは死んでしまうかもしれない直前。
強く願った。
「ほんの些細な事でいいから叶えばいいな」と。
かつてマサキが
「空を飛びたいと」
願ったように。
そして彼女は手に入れた。
「ほんの些細な願いを叶えれる」力を。
「ねぇ、マサキ?」
「何?」
「好きって言って」
「・・・・あのね」
「ねぇ」
「いいよ、力使わなくても」
「うん」
「いくらでも言うよ」
彼女はこの能力が実は結構すんごいって事をわかってる。
それこそ自分のいる世界くらいなら軽く変えることができる。
でも彼女は使わない。
アキが使うのは、マサキに対してだけ。
それもこんな風な時だけ。
「好きだ」
「うん、私も好き」
一人じゃ何もできなくて、二人でもきっと何もできなくて。
それでも二人でいようと決めた。
「ねぇ、塩茹でしたパスタになめくじぶつけたら溶ける?」
「知るか!」
ルームシェアから始まった僕らの恋。
不器用な二人の恋。
君もきっと素敵な恋見つけられるはず!
さぁ、君もルームシェアしてみよう!
終劇
あぁ・・ルームシェアしたいなぁ・・。